こんにちは!薬局薬剤師のりくたろーです!
「クレナフィン爪外用液10%は1本で何日分になるのか?何回塗れるのか?」
患者さんに服薬指導をしていてこのように悩んだことはないですか?
爪水虫の治療薬であるクレナフィン爪外用液10%は爪が生え変わるまで根気よく塗り続けることが大切です。
しかし、患者さんからは「まだ余ってるから今回はもらわなくていい。」といったり、クレナフィン爪外用液のみ処方の患者さんは受診間隔が1か月以上あいていたり。。
毎日塗れているかを確認するうえで、クレナフィンが1本で何日分になるのか目安を把握していれば、患者さんによりしっかりとした服薬指導がおこなえると思いました。
そこで今回、クレナフィンが1本何日分になるのか調べてみました。
メーカーMRに聞いてみると「クレナフィン1本で片手5本に毎日ぬって2週間分が目安」とのことでした。
クレナフィン1本=爪5本ぬって2週間分の根拠は?
クレナフィンの製造メーカーである科研製薬さんのHP「クレナフィン.jp」のFAQ(よくある質問)にこのような記載があります。
Q:量の目安を教えてください。
A:使用量は、患者さんの罹患爪の数や爪の大きさによって異なると考えられます。
参考として、国際共同第Ⅲ相試験(DPSI-IDP-108-P3-01)においてクレナフィンを塗布した患者さんの平均罹患爪数は3.8枚であり、2週間の平均使用量は約2.5mLでした。
クレナフィン.jp
日本・アメリカ・カナダで行われた国際共同第Ⅲ相試験が「1本で爪5本ぬって2週間分」の根拠になっているようです。
計算してみると、
2週間で2.5ml使用して3.8枚にぬっていたので、
1mlあたり塗布できる枚数は3.8 ÷ 2.5 = 1.52ml
1mlで1.52枚の爪に塗布できます。
クレナフィンは1本4mlなので、
4 × 1.52 = 6.08 →約6枚
爪の大きさによっても塗布できる枚数が異なるため、わかりやすく「1本で爪5枚ぬって2週間分」と説明しているようです。
「クレナフィン1本は爪5枚ぬって2週間分」を基準に爪何枚ぬれば1本でどれくらいもつのかを表にしてみました。
塗布する爪の枚数 | クレナフィン1本で何週間ぬれるか? |
1枚 | 10週間 |
2枚 | 5週間 |
3枚 | 3.3週間 |
4枚 | 2.5週間 |
5枚 | 2週間 |
10枚 | 1週間 |
クレナフィン爪外用液10%の注意事項には開封後12週経過した場合は、残薬を使用しないようにと書いてあります。
これは開封後12週までの安定性しか確認ができていないというのが理由のようです。
しかし、爪1本でも計算上は10週間分ですので、毎日使用すれば12週以内になくなると考えられます。
また1回で2本処方が出ている方はクレナフィンを塗布する爪の枚数が多いと考えられます。
服薬指導の際は、「どの爪にぬるのか?」「爪何枚分にぬるかの?」確認することが大切ですね。
クレナフィン爪外用液の塗り方

クレナフィン外用液の先にはハケがついています。
爪白癬になっている爪にマニキュアのようにぬります。
爪水虫は爪の境界から爪下に入ってくので、爪と皮膚の境界もしっかり塗ることが大切です。
クレナフィンが皮膚につくとかゆみ、赤みなどの皮膚炎がみられることがあります。
りくたろーは、20例以上みてきましたが皮膚炎により中断になった患者さんはまだみたことがないです。
爪が生えかわるには手の爪で半年~1年、足の爪で1年~1年半かかるといわれていますので、キレイな爪に生え変わるまでしっかり継続することが大切です。
クレナフィン爪外用液は爪水虫の治療を変えた!
クレナフィン爪外用液が登場する2014年以前は爪水虫(爪白癬)の治療は、飲み薬(経口薬)のみでした。
水虫の治療薬としてはラミシール(テルビナフィン)やアスタット(ラノコナゾール)などの塗り薬がありましたが爪水虫には効果がありませんでした。
ラミシールなどの薬は爪を透過しなかったため、爪の下にいる白癬菌をやっつけれなかったためです。
爪水虫(爪白癬)治療は、飲み薬しかありませんでしたが、飲み薬による治療にはデメリットがあり、使用しづらい面がありました。
ラミシール(テルビナフィン)の経口治療剤は、肝機能障害や血液障害がおこる可能性があるため定期的な採血が必要でした。
またイトリゾール(イトラコナゾール)の経口剤は、薬物相互作用がとても多く、他にくすりを飲んでいると使用しづらい場合がありました。
クレナフィン爪外用液の登場により、肝機能障害・血液障害や薬物相互作用を気にすることなく爪水虫の治療ができるようになりました。
クレナフィンが登場してからは、爪白癬の治療をラミシールなどの経口剤でされる患者さんをみなくなりました。
爪白癬の治療はより安全性の高い塗り薬による治療にかわりました。
クレナフィンは、爪水虫の治療を変えた薬ですね!
クレナフィン爪外用液のドラックインフォメーション
以下、クレナフィン爪外用液10%の添付文書、インタビューフォームからの抜粋です。
名称の由来
本剤は爪白癬治療剤であり、爪白癬に罹患した爪を清浄(Clean)にする、エフィナコナゾール製剤(Efinaconazole)であることに由来する。
薬価:1592.3(1g) 1本3.56g=5668.5円
禁忌:本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者
効能効果:〈適応菌種〉 皮膚糸状菌(トリコフィトン属)〈適応症〉 爪白癬
効能・効果に関連する使用上の注意
直接鏡検又は培養等に基づき爪白癬であると確定診断された患者に使用すること。
用法用量:1日1回罹患爪全体に塗布する。
副作用:適用部位にみられ、皮膚炎26例(2.1%)、水疱18例(1.5%)、紅斑9例(0.7%)、そう痒、異常感覚、腫脹、疼痛、皮膚剥脱各7例(0.6%)、爪甲脱落4例(0.3%)等であった。
適応上の注意
・本剤は抗真菌薬のため、新しい爪が伸びてこない限り、一旦変色した爪所見を回復させるものではない。このため、治療には相応の期間(爪が生えかわるまでの期間)が必要になること。
・爪白癬の原因菌は爪甲及びその下の皮膚に存在するため、この部位に薬剤が行きわたるよう皮膚との境界部も含め爪全体に十分に塗布し、周囲の皮膚に付着した薬剤は拭き取ること。
作用機序:クレナフィンの有効成分であるエフィナコナゾールは、真菌の細胞膜を構成するエルゴステロールの生合成を阻害することにより、抗真菌効果を発揮する。
薬価収載の単位が「g」なので保険請求は1本4mlではなく1本3.56gです。
まとめ
クレナフィン爪外用液10%は1本で爪5本にぬって2週分が目安です。
服薬指導のときに、何本の爪に塗るよう指示されているか患者さんに確認すればだいたいの目安がわかります。
爪白癬は半年から1年間は継続しないと残っている感染部からまたひろがってきます。
痛みなどがない患者さんもいるため途中で塗布をやめないよう薬剤師としてしっかりフォローしていきたいですね!
最後まで読んでくださりありがとうございました!




